P0171(System too lean)が発生している状況をOBD Linkで観察してみる

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間が空いてしまいました。
今回の記事では、購入した OBD Link を使って現在の状況を確認してみた結果をお伝えしたいと思います。OBD Linkを使用した車両状況の診断の一助になると幸いです。


OBD Link+Car Scannerでデータを見てみる

取得したデータがこちら。


この中で着目したいのが「空燃比」「短期調整(STFT)」「長期調整(LTFT)」の3つです。


空燃比(Air-Fuel Ratio:AFR)とは

エンジンは「空気」と「燃料」を混ぜて燃焼させています。この比率を空燃比(AFR)と呼びます。ガソリンエンジンの理論上もっとも理想的な空燃比は 14.7:1(空気14.7に対して燃料1)。
ECU はこの値を基準に燃料を噴射しています。

燃料補正(Fuel Trim)とは

実際の走行環境では、

  • 外気温の変化
  • 空気密度
  • センサーの経年劣化
  • 吸気系の汚れ
  • ガソリンの質

などによって、理論空燃比からズレていきます。
そこで ECU は O2 センサーの情報を元に空燃比を補正します。
この補正量を Fuel Trim(燃料補正)と呼び、短期燃料補正(STFT)長期燃料補正(LTFT) に分かれます。

短期燃料補正(STFT)

STFT はリアルタイム(数ミリ秒〜数秒単位)で変化する補正量です。
プラス方向(+10〜30%など)は「燃料が不足している」と ECU が判断し燃料を増量している状態。
マイナス方向はその逆で燃料過多と判断し、燃料を減らしている状態です。

STFT は常に上下しているのが正常ですが、+20%付近に張り付くのは異常の兆候です。

長期燃料補正(LTFT)

LTFT は STFT の傾向を学習し、数十秒〜数分単位で反映される蓄積補正です。
STFT がプラス寄りなら LTFT もプラスに蓄積、マイナス寄りなら LTFT もマイナスに寄ります。

実際のデータを見てみる

まず空燃比を見ると、赤枠で囲った部分の大半が「20」になっています。
これはエンジンが温まった状態で計測したデータなので、本来は 14.7 前後で安定するのが正常 です。つまり ECU は「燃料が薄い(リーンだ)」と判断していることになります。

次に短期調整(STFT)。
同じ時間帯で +25% を示しています。
これは燃料噴射マップの基準に対して 25% 多く燃料を噴いている という意味で、かつ +25% はほぼ上限値。「これ以上燃料を増やせない」という状況です。

にも関わらず空燃比は20のまま。つまり「燃料を増やしているはずなのに、混合気が濃くならない(リーンのまま)」という状態です。

続いて長期調整(LTFT)を見ると、こちらも +10%
短期調整が大きくプラスなので当然の結果で、継続的に薄い状態が続いていることを示します。

空燃比20(=薄い)
→ ECU「燃料増やせ!」
→ STFT +25%(最大)
→ でもリーンのまま
→ LTFTもプラス方向に蓄積
P0171(System too Lean)発生

という流れです。

つまり「ECU は燃料を増やしているつもりなのに、実際には燃料が来ていない」という状況が発生しています。

原因として怪しいところ

今回の状況から考えられるのは以下の部分です。

  • インジェクター不良
  • レギュレーター不良
  • 燃料ポンプの息継ぎ・劣化

筆者の愛車では、“派手なガス欠症状”が何度か出ていました。
インジェクターが全滅するとは考えにくく、レギュレーターも構造的に「へたっては回復する」という挙動を取りません。

そのため、燃料ポンプの劣化によって燃圧が安定せず、薄い状態が続いている と考えるのが妥当です。モーター駆動のため、一時的に回転が戻ることはあり得ます。

そして、この Car Scanner のデータを ChatGPT にも見せてみましたが、見立ては同じ。


本当に便利ですね。こうして画像まで読み取って説明してくれるので、知識の乏しい筆者には大きな助けになります。「OBD Linkとか買ったって、データ読めないもの・・・」という方は、生成AIの力を借りるといいですよ!ホントに自分がわからなかったことを大幅に強化してくれます


燃料ポンプが14年・10万km未満で壊れるのは普通?

ここで一つ疑問が出ました。
「燃料ポンプが14年・10万km未満で壊れるのは妥当なのか?」という点です。

これまでの愛車では、その程度で壊れた経験はありませんでした。
そこで調べてみると、思い当たる原因がひとつ。

給油ランプが点いた状態で長く走ると、燃料ポンプの劣化を早める のだそうです。

筆者は出張で片道450kmほど走ることが多く、御殿場あたりで給油ランプが点灯します。
ただ、高速のガソリンは高いので、そのまま燃費運転で帰ってきてしまっていました。

しかし、燃料が少ない状態で走り続けると、

  • ポンプがガソリンで冷却されない
  • タンク内で空吸いが発生しやすい

これらが重なり、燃料ポンプの劣化を大幅に早める ようです。

知らなかった…。
今後はもうやりません。

これで「燃料ポンプの劣化が原因」という見立ては、さらに濃厚になりました。買ってみてよかった、OBD Link!

次回は、燃料ポンプ交換について記事を書こうと思います。

結果的に燃料ポンプ交換とある問題の除去でP0171が解消するだけでなく、大幅にレスポンス・パワーともに向上しました。(でも大変でした💦)

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