「接着剤でボディ補強」──ずっと気になっていたこのDIY手法を、ついに自分のクルマで試してみました。使ったのは、工業用の瞬間接着剤として有名な《アロンアルフア EXTRA4020》。結果から言うと、効果は想像以上。ただし、施工には注意点も多々あります。
まずはリアハッチから施工開始
最初に手をつけたのはリアハッチの開口部周辺。以前からリア剛性の弱さが気になっていた部分です。ここにEXTRA4020を丁寧に塗布して接合部を固めていくと、施工直後からリア周りの接地感が一変。走行中に室内後方から聞こえていた「ギシギシ音」がほとんど消え、ボディのしっかり感が劇的に向上しました。
剛性アップで新たな“軋み”発生→A/B/Cピラーにも施工
リアが強化されたことで、今度はAピラーやルーフ周辺から「ミシミシ」といった軋み音が発生。剛性バランスが崩れた影響でしょう。そこで、Aピラー、Bピラー、Cピラーにも同様に施工を追加。すると、不快な音はピタリと収まり、車体全体がまるで「一つの塊」になったかのような剛性感を得られました。
驚いたのは、これまで導入を検討していた「ピラーバーが不要かも?」と思えるほどの補強効果。サスペンションの動きも明瞭になり、ビルシュタインのショックの動作がより「見える」ように。さらに、突き上げ感もむしろマイルドに変化しました。
そしてフロアへ…やりすぎて後悔しかけた話
気をよくして、次にフロア(スカッフプレート下)にも施工。これが思いのほか「効きすぎ」たのです。初期状態では剛性が上がりすぎて、路面の凹凸を拾った際にボディ全体が共振してしまうような振動が発生。「これはやってはいけなかったか…」と青ざめる事態に。
ところが――。
名古屋から中央道を走り、諏訪湖あたりに差し掛かった頃には不快な振動が収まり、代わりに現れたのは異次元の旋回性能。コーナー進入時、以前は逃げがちだったフロントがビシッと粘り、アクセルを踏み込んで曲げていける、まるで別のクルマのような挙動へと進化していました。
接着剤補強は「当たれば強烈」だが、リスクもある
今回の補強は、幸運にもすべてのポイントが“ハマった”結果でした。しかし、もともと薄い鋼板で作られている市販車のモノコック構造に対し、接合部だけを極端に強くしてしまうと、逆に歪みや応力集中を招くリスクもあります。
安価で高効果な補強法である一方で、的確な部位の見極めとノウハウが不可欠。間違った場所に施工すると、ボディを傷めてしまう可能性もあるため、慎重に判断すべきです。
まとめ
接着剤によるボディ補強は、「安くて効果的」な可能性を秘めたDIYですが、やり方次第では大きな落とし穴もあります。もし試すなら、少しずつ、慎重に。そして変化を感じながら様子を見て施工を進めるのが得策です。
✅使用製品
- アロンアルフア EXTRA4020(工業用高強度接着剤)
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