「スタッドレスタイヤ、これでいいんじゃない? 」KENDA KR36の実力

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冬が来るたびに悩むのがスタッドレスタイヤ選び。
ブリヂストン、ヨコハマ、ダンロップ……確かに性能は文句なし。でも、4本で10万円超えって正直きつい。

そんな中、「KENDA KR36」は、1本あたり約1/3の価格で買える“アジアンスタッドレス”。
安いけど大丈夫なの?──そう思いつつも、筆者が実際に4シーズン使用した結果、その答えははっきりしている。

結論から言うと、
「これで十分」というか「特に悪いところがない」


KENDA KR36とは

KENDA(ケンダ)は台湾発のタイヤメーカー。
1962年創業と意外に歴史は古く、現在は世界170か国以上で販売されているグローバルブランド。自転車・バイク・自動車用まで幅広く手掛け、欧州・北米市場でもOEM供給を行っている
その中で冬季向けに展開しているのが「ICETEC NEO KR36」。

KR36は、KENDAがアジア圏の冬環境(日本・韓国・中国北部など)を想定して開発したスタッドレスタイヤで、「コスパ重視ながら安全性も妥協しない」という設計思想を持つ。

開発コンセプト

メーカーの説明によれば、KR36は以下の3点に焦点を置いている:

  1. 非対称パターンデザイン
     内側ブロックで雪上・氷上のトラクションを確保し、外側ブロックでコーナリング安定性を強化。
     高速道路や都市走行でもふらつきにくいのが特徴。
  2. マルチサイプ+シリカ配合コンパウンド
     低温でもゴムの柔軟性を保つため、高含有シリカを採用。
     細かなサイプ(切れ込み)が氷雪をつかみ、ブレーキ性能を確保する。
  3. 静粛性と耐摩耗性のバランス
     安価なタイヤにありがちな「うるさい・すぐ減る」を避けるため、
     剛性を確保しつつ、トレッド面の接地圧を均一化している。

規格・サイズ展開

日本では軽自動車~ミニバン・SUVまで幅広く展開されており、対応サイズは13インチ~22インチ。スバル・トヨタ・ホンダなど国産メーカー車種にも多く適合する。

ポジショニング

KENDA KR36は「ミドルレンジのスタッドレス」として位置づけられる。
ブリヂストンBLIZZAKやヨコハマiceGUARDのような“氷上最強”を狙うタイプではなく、
都市部中心・圧雪路メイン・低価格志向ユーザー向けの実用モデル

つまり、
「雪道を年に数回走る」
「峠や山道はあまり行かない」
というユーザーにとって、価格と性能のバランスがちょうどいいタイヤ。

と言いながらも筆者は雪が降っているというニュースを聞くと、長野や新潟までわざわざ走りに行くタイプで、大雪の中でも困ったことはありません。


雪道でのグリップ感:十分にグリップする

初めて雪上を走ったときの印象は「思ったより止まるし、曲がる」。
氷上性能では国産トップクラスに及ばない(と思う。なぜなら最近の国産のスタッドレスを試せていないので。そして筆者はこのタイヤじゃダメだ・・・と思ったことがありません。)が、圧雪路では非常に安定しています。

特に、KR36はサイドウォール剛性がしっかりしていて、ハンドルの応答性が自然
「ふにゃっ」とせず、ステアリングの入力に素直に反応してくれる感覚がある。

これは価格帯を考えれば驚異的です。
いわば「雪道のベーシックタイヤとして完成されている」と言っていいと思う。


乾燥路・高速道路での安定感:侮れない静粛性

雪のない道路での走行も全然問題なし。むしろトレッド面の適度な弾力で乗り心地が良く感じることでしょう。普段の街乗りや高速走行でもロードノイズが少なく、ハンドリングが安定している。
ゴムが柔らかいスタッドレス特有のフラつきも控えめで、「冬でも安心して高速に乗れる」レベル。120km/h区間のある高速道路で流れに乗っても何ら不安はありません。(もっと高い速度域でも。)

※ただしサマータイヤに比べればもちろん柔さはあります。スピードは控えめに。

筆者のエクシーガでは、時速100kmでも直進安定性が高く、振動も穏やか
冬の帰省やスキーに行くときでも、安心して家族を乗せられる。


経年劣化の少なさ:4シーズン目でも現役

KR36を履き続けてもう4年経過。
気になるのは「ゴムの硬化」だけど、まだまだ柔軟性が残っている。
価格を考えれば、4シーズン目も実用レベルで使えるのは立派だ。


コスパの化け物

価格を見れば、国産の約3分の1
サイズによっては国産スタッドレスタイヤ1本分で1台分が買えてしまう

そして筆者が実際に使ってきた経験として「安かろう悪かろう」ではなく、“必要十分を安価に提供する”設計思想を感じる。

レビューの抜粋

海外サイトを含めレビューを見てみました。

ポジティブな面では「価格以上の性能」「ブラックアイスでも問題なかった」と言う意見が見られます。

ネガティブな面では「客観的数値データがない」「安価で柔らかいゴム、摩耗が早い、音が大きくバランスが取りにくい」という意見が見られますが、客観的なデータはなくとも雪上でグリップしますし、摩耗が速い、音が大きい、バランスが取りにくいということはなかったです。

良い評価・ポジティブなレビュー

内容(英語または原文)日本語意訳・解釈引用元
“I bought the Kenda KR36 for the couple ski trips to Nagano last winter and they were great.”「昨冬、長野へのスキー旅行用に KR36 を買ったが、良かった」Reddit “Winter tyre recommendations” スレッドより Reddit
“The asymmetric tread design with new ultra soft silica compound provides outstanding handling performance.”「非対称トレッドと超ソフトシリカ配合が抜群のハンドリング性能をもたらす」TyresAddict KR36 製品説明より tyresaddict.com+1
“In the forum: ‘They are cheap tires and the performance is commensurate with the price.’”「安いタイヤであり、性能はその価格に見合っている」KZRider フォーラムより kzrider.com
(日本国内)「とても安価なのでどうかなぁと思いましたが、通常路面での静粛性はとても良く安定し、しっかりグリップ感もあります。」「安さゆえ不安だったが、乾いた路面で静かで安定しており、グリップ感もしっかりしている」みんカラの KR36 レビューより みんカラ
(日本国内)「北海道で普通にブラックアイスバーンでも問題なく走れます。ゴム質も柔らかく満足です。」「氷の薄いブラックアイス路面でも普通に走れる。ゴムが柔らかくて満足」楽天レビューより 楽天レビュー

否定的・懸念を含む表現・レビュー

内容(原文または引用)日本語意訳・解釈引用元
“No test results for the given filter.”(Tiretest 上で)“指定条件でのテスト結果なし”という記載。客観的数値データが見られないTiretest KR36 ページ Tirestest
(Tyres-Pneus-Online) “This marking alone does not certify winter homologation.”「この(“winter / snowy ground に対応”という)表示だけでは冬用 homologation 認証を保証するものではない」Tyres-Pneus-Online KR36 解説より Pneus Online
フォーラム意見: “They are cheap tires and the performance is commensurate with the price.”「安いタイヤであり、性能も価格相応」つまり過度な期待は禁物KZRider フォーラム kzrider.com
(reddit ほかタイヤ全般議論)“cheap soft rubber compound … wear out fast … loud … difficult to balance”「安価で柔らかいゴム、摩耗が早い、音が大きくバランスが取りにくい」などの指摘Reddit タイヤ全般議論スレッド Reddit
(TyresAddict 製品説明だがレビューは未記載)“Reviews There are no reviews on this tyre yet”(そのサイトにおいて)実使用レビューが掲載されていない(=使用者視点の検証データが不足)TyresAddict

スタッドレスタイヤを使ったことがない人へ

チェーンが最強はウソです

「年に1回雪が積もるかどうかだからチェーンだけでいい」という人もいるかと思う。「チェーンが最強」という意見もよく見ますね。

チェーンが最強と言うのは筆者の経験上「あれはウソ」です。特にしっかりと雪が積もって圧雪路になっていない状況では夏タイヤにチェーンを巻いてるだけだと滑ります。濡れたアスファルトと金属のチェーンが接しているのですからグリップするわけがないんです。そしてある程度雪が積もってきた状況ではチェーンを巻いた駆動輪はグリップしますが、チェーンを巻いていない方のタイヤは当然滑ります。大多数の乗用車がFF(前輪駆動)だと思いますが、その場合後ろが滑ってスピンします。腕に覚えのある人はこの後ろが滑ることをあえて楽しめると思いますが、普通の人にとっては危険です。FR(後輪駆動)なら曲がりません。

チェーンが威力を発揮するのは、バリンバリンのアイスバーンでの絶対的なトラクション、そして深雪路面での脱出力です。それ以外のシチュエーションでは4輪にスタッドレスタイヤを履いている方が完全にグリップは上です。スタッドレスタイヤを履いた上でそれでも走れない時にチェーンが役立つのです。

サスペンションもへたる

そして、アスファルト路面でチェーンを巻いて長く走行すると確実にサスペンションのへたりを加速します。細かく、かつ早い振動をサスペンションが受け止めることになるからです。そもそもガタガタして乗り心地が悪いのは容易に想像がつきますよね。

何より楽

スタッドレスタイヤにしてしまえば冬の間はそのまま履いておけばいいです。筆者もチェーンを使用したことはもちろんありますが、雪が降っている中で濡れているタイヤにチェーンを巻く作業は寒いし、軍手も湿って手が凍えてしんどいです。使い慣れていない人ほどスタッドレスタイヤを履くべき、と筆者は考えます。ホント楽ですよ。

まとめ:高コスパ・実用派にはベストな選択

KENDA KR36は、スゴいタイヤではない。
でも、雪道を走るときの安心感、乾燥路での扱いやすさ、そして何より価格。
どれを取っても「これで十分」と言えるタイヤです。

むしろ、“国産ブランドの価格神話”を一度疑ってみるきっかけになるかもしれない。筆者は今のところ、KR36以上のタイヤが必要だと思ったことはありません。


おすすめ層:

  • 年数回しか雪道を走らない
  • コスパ重視でしっかり止まるタイヤがほしい
  • 首都圏・中部・中国地方などの「非豪雪地帯」ユーザー
  • チェーンしか持っていない または まだチェーンもない

冬支度の準備は、早めが吉。
10月〜11月が最安+在庫豊富な買い時です。
KENDA KR36、今年も安心して履ける一本です。筆者は今年リピートする予定です。

以前の記事はこちらをご覧ください。

コメント

  1. DwayneHiP より:

    時々見てます。感動します記事を読むの楽しいです。 [url=https://iqvel.com/ja/a/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89/%E3%82%B0%E3%83%88%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%82%B9%E3%81%AE%E6%BB%9D]黄金の滝[/url] マップカタログ — 計画立案の強い味方。

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